Aug 28, 2014
By ドレイク ドーム (Medical Jane)
医療大麻の支持者は長い年月に渡り、大麻が癌治療に於ける抗ガン剤療法のような伝統的な西洋医学のアプローチと比較して副作用が極めて少ない穏やかな治療法であると提唱して来ました。
これらの主張をサポートする、大麻が癌の広がりを抑制することができるだけでなく、多種多様のメカニズムにより、癌細胞死を引き
起こすことができるという証明が急速に増えつつあります。
ドイツの研究者チームが先月、特に大麻と肺がんとの相互作用にさらなる光を投げかける研究論文を生化学的薬理学ジャーナルに発表しました。これらの結果は、大麻に含まれる生理活性物質 カンナビノイドが間接的に
癌細胞に対して、人が先天的に体内に兼ね備えた腫瘍を殺すためにプログラムされたナチュラルキラー細胞の標的として、分解され安くする感受性を高めると示唆しています。
ドイツの研究者による、THC、CBDと肺癌細胞の関係の研究:
大麻に含まれる生理活性物質 カンナビノイドは、肺癌細胞の浸潤および広がりと戦うメカニズムの一部として、細胞間接着分子(ICAM-1)の発現を増加させることが知られていますが、マリア ハウスタイン博士が率いるドイツの研究者のチームは、
カンナビノイドにより誘発されたICAM-1の発現増加が、腫瘍細胞を殺すために活性化される白血球-リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞をも同時に呼び寄せると言う仕組みに興味を持ち、ICAM-1の肺癌に対する影響を研究しました。彼らは、ICAM-1が癌細胞とキラー細胞の結び付き役になっていると言う事を証明しようと試みたのです。
カンナビジオール(CBD)は、癌細胞に付着してLAK細胞によって分解される感受性を高める:
ハウスタイン博士の研究チームは、試験管による細胞組織培養により、ICAM-1が、LAK細胞媒介細胞傷害性にどのように影響を与えるかを調べました。
その結果、CBD カナビジオールは、
肺癌細胞 (A549、H460)に付着し、またLAK細胞に分解される癌細胞の感受性を高めるICAM-1の発現を促していると考えられ、
ICAM-1が様々な経路...例えば、低分子干渉RNA (siRNA)によってカナビノイド受容体CB1, CB2 (1型、2型)とカプサイシン受容体(TRPV-1)らが拮抗されることを通じて中和されると上記の作用の力関係は逆転すると言う事を突き止めました。つまり、癌細胞がLAK細胞に分解されず広がり拡散する事を意味します。
また、CBDによって高められる肺癌細胞死滅のメカニズムは、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞に対して、ICAM-1と常時共に働く同じ接着分子であるLFA-1 (リンパ球機能関連抗原1型)が抗体を持つように培養された場合、同じ様に肺癌細胞とLAK細胞の力関係が逆転する事から、CBDによって誘発されるICAM-1およびLFA-1の間のリンクが癌細胞に対して細胞死、もしくは機能障害や増殖阻害の影響を与える、細胞毒性の重要な側面であることを示唆しています。
医療大麻の多くの支持者は、医療大麻で癌を治療する場合、Δ9 テトラヒドロカンナビノール(THC)は絶対に必要であるという信念を持っています。
ドイツの研究チームもまた、カナビノイド受容体(1型、2型)と親和性のあるTHCや内因性カナビノイドであるアナンダミド (この研究の場合、アナンダミドの合成物質 R(+)-methanandamide )によって細胞間接着分子ICAM-1の発現がなされ、LAK細胞媒介性細胞傷害へのリンクが肺癌細胞 (A549、H460)に有効であると仮定し実験を行ったが、CBDと同じ働きを確認できなかったと報告しています。
ハウスタイン博士の研究チームは結論として『私たちの研究結果は、カナビノイド(CBD)が細胞間接着分 ICAM-1の増加調整をし、肺癌細胞のLAK細胞に対しての感受性を高め破壊させるメカニズムを解明しました。そして、これらの知見は、カンナビノイドの新しい抗腫瘍メカニズムのための証拠を提供したと言える』と綴っています。
医療大麻は、一般的に癌を治療する為に用いられてきた抗ガン剤などによる化学療法より、極めて副作用が少なく体に優しいと広く語り継がれて来ました。大麻に含まれる生理活性物質 各種 カナビノイドが様々な癌を治療するために利用できると言う明確な証拠が増えて行く中、大麻に人を癒す薬効は持ち合わせっていないと主張するアメリカ連邦政府の政策に変化を見いだすのも時間の問題と言えるでしょう。
秋山ひろし 訳
― 用語解説 ―
ICAM-1(intercellular adhesion molecule-1)は、免疫系の細胞間相互作用を司る接着分子の一つで、リンパ球機能関連抗原1型 LFA-1(lympho-cyte function associated antigen-1)と共同してリンパ球の抗原提示細胞への結合や、活性化リンパ球の血管内皮細胞への結合に関与することが知られている。 血管内皮細胞、胸腺上皮細胞その他の上皮細胞、線維芽細胞などのさまざまな細胞に認められ、各種炎症性サイトカイン(IL-1、TNFあるいはIFN-γ)によりその発現が増強される。この研究に於いて、CBD カナビジオールにも同じ作用があると言える。
リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞: 一部のリンパ球は,広範な腫瘍標的細胞や異常なリンパ球(例,ある種のウイルスによる感染細胞)を殺すことのできる,強力なリンホカイン活性化キラー細胞(LAK)となる。LAKは,特異なリンパ球サブセットというよりむしろ1つの現象である。LAK前駆細胞は多様であるが,主としてNK様またはT様に分類できる。典型的なNK細胞が主要な前駆細胞である。